アジア映画が世界の頂点に立った瞬間として、2010年代末の快挙は今なお鮮烈な記憶として語り継がれている。是枝裕和監督の『万引き家族』が獲得したパルム・ドールは、血縁を超えた家族の絆と社会の不条理を温かくも静かな眼差しで切り取った、傑出したヒューマンドラマとして世界中で絶賛を浴びた。
その翌年、ポン・ジュノ監督による『パラサイト 半地下の家族』が同賞を戴冠したニュースは、映画界全体を揺るがす巨大な地殻変動となった。格差社会の暗部を綿密に計算されたサスペンスの手法で描き出し、世界中の観客を狂喜させたエンターテインメント性と深い批評性の同居は、まさに歴史的な快挙だ。二人の監督が示したリアリティの提示方法は、カンヌの歴史に新たな金字塔を打ち立てた。