五感の統合メカニズムについては、認知心理学の分野において長年にわたり探求が続けられている。カリフォルニア工科大学の教授であり、知覚心理学の権威として知られる下條信輔氏らの研究は、人間がいかに「見ているもの」に味覚を支配されているかを鮮やかに提示してきた。
下條教授らの知覚実験では、視覚情報が与える錯覚の強固さが示されている。単に「見た目に騙される」というレベルを超え、視覚と嗅覚が統合された脳の神経ネットワークが、舌からの純粋な化学的刺激を塗り替えてしまうことが明らかになっているのだ。認知心理学が解き明かしたこれらの知見は、かき氷のシロップにとどまらず、私たちが日常的に口にしている食品パッケージのデザインや、飲食店における照明・演出の重要性とも深くリンクしている。