日本の音楽史において、国歌の解釈を巡る最大のターニングポイントとなったのが忌野清志郎の存在だ。伝説的ロックバンドRCサクセションを率いた彼は、常に社会の矛盾や既成概念に対して鋭い疑問を突きつけ続けてきた。その到達点の一つが、反核・反原発や社会風刺をテーマにした1988年の洋楽カバーアルバム『COVERS』である。
親会社からの圧力や発売中止の危機を乗り越えて世に出た『COVERS』の精神は、後に清志郎がソロ名義で発表した「君が代」のパンクロック・カバーへと直接つながっていく。伝統的な旋律を歪んだエレキギターと独自のシャウトで再構築した彼のパフォーマンスは、当時の音楽シーンに激震を与えた。それは単なる反逆ではなく、国家と個人の関係性を問い直す力強いプロテストソングとして、今なお語り継がれている。