長年にわたり世界を席巻していたハリウッドの巨大スタジオ体制は、テレビの急速な普及と観客層の世代交代により、急速にその求心力を失っていった。過度な道徳検閲であった「ヘイズ・コード」は機能不全に陥り、従来のハッピーエンド至上主義は若者たちの共感を得られなくなっていく。この地殻変動の最中、フランスから押し寄せたヌーヴェルヴァーグの波が、世界の映像表現に決定的な衝撃を与えた。
この時代のうねりに素早く反応したのが、ワーナー・ブラザースをはじめとする一部の先進的な映画会社だった。制作現場の主導権を従来のプロデューサーから監督個人へと譲り渡す「アメリカン・ニューシネマ」の流れを受け入れ、社会の暗部や若者の孤独、反体制的なテーマを果敢に解禁。スクリーンは一気に生々しいリアリズムと青々とした焦燥感で満たされることとなった。