日本における災害表現の歴史を振り返ると、常に時代の危機感と呼応してきたことがわかる。かつて小松左京が著した伝説的SF小説『日本沈没』は、高度経済成長期に浮かれる日本社会に対して、国土そのものが失われる恐怖を突きつけた金字塔であった。その遺志を継ぐように、近年の映像作品はリアリティの追求を加速させている。
例えば、福島第一原発事故の舞台裏を重厚に描いたNetflixのドラマシリーズ『THE DAYS』は、極限状態に置かれた人間の心理と、目に見えない恐怖との闘いを克明に刻み込んだ。また、NHKスペシャルなどで長年培われてきた災害ドキュメンタリーのノウハウも、現代の映像クリエイターに多大な影響を与えている。本作は、こうした日本独自の災害ドラマと検証ドキュメンタリーの優れた伝統を継承しつつ、現代のデジタル技術によってさらに一歩進んだ警鐘のスタイルを確立した。