手軽さで選ばれるマグネット留め具ですが、「外れやすい」という噂には物理的な根拠が存在します。磁石は正面から真っ直ぐ引き離す力に対しては強い吸着力を発揮するものの、横方向に滑らせる力(剪断力)に対しては極端に弱いという性質を持っています。
日常生活の中でネックレスが脱落してしまう主なシチュエーションは以下の通りです。
最も多いのは、冬場のマフラーやストール、タートルネックの脱ぎ着による摩擦です。襟元が留め具に擦れる際、横方向へのスライド圧が加わることで、本人が気づかないうちに外れてしまいます。また、重いショルダートートやリュックサックのストラップが首元にかかり、留め具を巻き込んで引っ張ってしまうケースも後を絶ちません。
さらに見落とされがちなのが、ペンダントトップの重量オーバーです。華奢なチェーン用に設計された小粒のマグネット留め具に、大ぶりの天然石や重厚なモチーフを合わせると、歩行時の上下の揺れだけで磁力の限界を超えて外れてしまうことがあります。「外れる」というトラブルの多くは磁力そのものの劣化ではなく、日常動作で生じる横ズレと重量バランスの不一致が引き起こしているのが実情です。