日本の豊かな食文化を支える干物文化の中でも、太平洋の恵みを身に受けた千葉県銚子市は、全国屈指の水産拠点として知られている。黒潮と親潮が交差する銚子沖で揚げられる旬のサンマは、乗った脂の質が格段に違う。
水産庁の各種資料や地域の伝統技術を辿ると、現地で発展した水産加工業の深い歴史が浮かび上がってくる。獲れたての新鮮な魚を職人が素早く開き、特製の秘伝タレに浸けてじっくり干し上げる製法は、長年受け継がれてきた宝だ。機械生産では決して真似できない手仕事の深みが、かみ締めるたびに広がる旨味を生み出している。