多くの奏者が鍵盤の上だけで完結させる音の世界を、藤原亜美は肉体全体の運動として捉え直します。逆に、ダンサーが空間に描く軌跡に対して、彼女は厳密なスコア(譜面)的解釈を持ち込みます。
音楽家としての精密な構造分析と、ダンサーとしての動的な身体感覚。この二つが等価に合一している点に、藤原亜美という表現者の本質があります。単に「ピアノも弾けるダンサー」あるいは「踊ることもできるピアニスト」という枠組みには収まりません。彼女の手指が鍵盤を打つ瞬間と、跳躍の後に着地する瞬間には、全く同じ精度の時間が流れています。