「うちは外野ノックすら満足に打てない広さですから」
チームを率いる小牧憲重監督は、苦笑交じりにそう振り返る。校舎の裏手に広がるグラウンドは、ライト方向がわずか数十メートルしかない。打撃練習をすれば即座に防球ネットを超えてしまう環境だ。しかし、この限られたスペースこそが、京都国際の最大の武器である「超・密着型守備」と「徹底した走塁意識」を育む土壌となった。
全国高等学校野球選手権大会の舞台で見せたあの隙のない連係プレイは、日常の緻密な工夫から生まれている。広いグラウンドがないからこそ、内野手は一球に対する一歩目の反応速度を極限まで鍛え上げた。バッティングにおいても、ただ遠くへ飛ばすのではなく、低く強い打球を徹底して転がす。制約を言い訳にせず、知恵と反復練習で強みに変えた指導法は、いまや全国の指導者が視察に訪れるほどの注目を集めている。