誰もが延長タイブレークを覚悟した9回裏、試合を決めたのはそれまで無安打に抑え込まれていた4番打者の一撃だった。相手投手のキレのあるスライダーに苦しめられ続けた打席。しかし、追い込まれてからの5球目、外角低めの厳しいボールを泥臭く右中間へと弾き返した。
「狙っていた球とは違ったが、体が自然に反応した」。試合後のヒーローインタビューで、彼は汗と涙が混じった笑顔でそう語った。打球が右中間を深々と破る間に、二塁ランナーが狂喜乱舞するホームへ滑り込む。ベンチから一斉に飛び出したナインがマウンド付近で歓喜の輪を作り、一瞬にして球場全体が沖縄特有のうねるような熱気に包まれた。