近年、健康志向の高まりとともに鶏胸肉をパサつかせずしっとり仕上げる「余熱調理」や「サラダチキンメーカー・ジッパー付き保存袋を用いた湯煎調理」が定番化しています。しかし、ここにも重大な落とし穴が潜んでいます。
取材現場や調理科学の検証データによると、「沸騰したお湯に火を止めて肉を入れ、蓋をして30分放置する」という簡易的な余熱レシピでは、肉のサイズや室温によってお湯の温度が急激に60℃以下まで下がり、中心温度が菌の死滅ライン(75℃1分同等)に届かない事態が頻発しています。その結果、肉の中心部から肉汁とともに菌が茹で汁全体へ染み出し、その汁をそのままスープや炊き込みご飯の水代わりに使って食中毒を発症する事例が報告されています。
低温調理やサラダチキンの自作自体は素晴らしい調理技法ですが、「肉から出たドリップや茹で汁」をスープに再利用する場合は、肉を取り出した後に必ず茹で汁単体を鍋でしっかりと再加熱し、グラグラと沸騰させる工程を省略してはなりません。