後にスポーツ医学の観点から分析された失速の主因は、深刻な脱水症状と熱中症の初期症状であった。急激な水分不足は脳への酸素供給を低下させ、アスリートの運動機能を麻痺させる。長距離走という種目が秘める過酷さが、残酷なまでに浮き彫りとなった瞬間だった。
そしてこの過酷な現実を茶の間にリアルタイムで届けたのが、日本テレビによる中継映像である。移動車からのカメラが捉えた櫛部の苦悶の表情、もつれる足元、そして必死に前へ進もうとする姿。その映像は単なるレース中継を超え、見る者の心を揺さぶるドキュメンタリーとしてのリアリティを刻み込んだ。