この不穏な歴史と「理不尽に誰か一人を選び出す」という言葉の構造は、映画やドラマ、音楽の世界で強烈な演出装置として繰り返し利用されてきました。
【ウォーキング・デッド】ニーガンが放った戦慄の処刑宣告
海外ドラマ史上に残るトラウマシーンとして名高いのが、パニックサバイバルドラマ『ウォーキング・デッド』シーズン6第16話(最終話)からシーズン7第1話にかけての展開です。有刺鉄線を巻き付けた木製バット「ルシール」を肩に担いだ救世主のリーダー、ニーガン(ジェフリー・ディーン・モーガン)が、膝まずかされた主人公リックたち主要メンバーを前にしてこの数え歌を口ずさみます。
仲間たちの頭上をバットで順番に指差しながら、笑顔で「Eeny, meeny, miny, moe...」と唱えるニーガン。このシーンの元ネタとなった原作コミックでも同様の描写が存在しますが、視聴者が恐怖したのは「誰が殺されるのか分からない無作為の残酷さ」です。理不尽な暴力で支配を確立するため、あえて子どもの無邪気な数え歌を使って見せしめの生贄を選ぶ狂気は、このフレーズが本来持っていた歴史的残虐性と見事に呼応していました。
【三代目 J SOUL BROTHERS】洗練されたダンスナンバーへの昇華
一方で、日本のエンターテインメント界においてこのフレーズを洗練されたポップカルチャーへと昇華させた好例が、三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBEが2015年にリリースした楽曲『Eeny, meeny, miny, moe!』です。
同曲では、黒のスーツを纏ったメンバーがスタンドマイクを用いたスタイリッシュなパフォーマンスを披露。歌詞の世界観では、複数の魅力的な選択肢や移り気な恋愛心理のなかで「どちらを選ぼうか」と揺れ動く大人の駆け引きを描写しています。おどろおどろしい歴史的背景を完全に切り離し、純粋なスウィング感とリズムの心地よさを抽出した表現として、日本国内でこのフレーズの認知度を一気に引き上げました。