医療施設や高齢者施設では、感染症法(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律)や各種ガイドラインに基づき、感染経路に応じた厳格な隔離・予防策が体系化されています。
医療現場の感染対策は、すべての患者に対して無条件で適用する「標準予防策(スタンダード・プレコーション)」をベースに、以下の3つの感染経路別予防策を上乗せして運用します。
1. 接触予防策:専用ガウン・手袋の着用、手指衛生の徹底、器具の個別化
2. 飛沫予防策:サージカルマスク・アイガード(ゴーグル)の装着、患者間のベッド間隔を1メートル以上確保
3. 空気予防策:気圧を周囲より低く保つ「陰圧室」への収容、入室時のN95マスク着用、毎時6〜12回以上の空気循環・排出
結核や麻疹の疑いがある患者が発生した場合、一般病床ではなく空気予防策が取れる陰圧室へ直ちに隔離されます。空気が外の廊下に漏れ出さない物理的な陰圧構造と、高性能HEPAフィルターを通した排気システムがなければ、院内感染を食い止めることができないためです。
これら専門的な基準を一般生活に応用する場合、「インフルエンザなどの飛沫感染には手洗い・マスク・距離の確保」で十分な防御が図れる一方、「空気感染やエアロゾルが疑われる状況では、部屋の空気そのものを入れ替える構造的なアプローチが不可欠」という明確な判断基準を持つことが大切です。