発酵学者であり食文化論者として知られる小泉武夫氏も、野生鳥獣の肉が持つ潜在能力と熟成の効果について深く言及している。ヤマドリの筋肉には、運動量の多さと天然の食事によって豊かなアミノ酸やイノシン酸が蓄積されている。
適切な温度管理のもとで数日から十数日ほど熟成させることで、肉質のタンパク質が分解され、旨味成分が飛躍的に増幅する。熟成されたヤマドリの肉は、野性的な風味を残しつつも角が取れ、えも言われぬ芳醇なコクと滑らかなテクスチャーへと昇華するのだ。これこそが、食通たちを唸らせる劇的な美味さのカラクリである。