黒ひげという難役を成立させたのは、英国出身の名優イアン・マクシェーンの卓越した演技力に他ならない。彼は単に叫んだり暴れたりする悪役ではなく、静寂の中に潜む狂気を静かに漂わせた。実娘であるアンジェリカに対してすら愛と冷酷さの狭間で振る舞う複雑な人間性は、彼の演技によって初めてリアリティを獲得した。
マクシェーン自身もインタビューで、「純粋な悪を演じることほど魅力的な挑戦はない」と語っている。彼が見せた一切の妥協を許さない威圧感は、シリーズ歴代の悪役の中でも異彩を放ち、視聴者の記憶に深く刻み込まれることとなった。