音楽的な構成の完成度の高さも、この曲が名曲と称される大きな要因です。全体は劇的な起承転結で組み立てられており、各セクションが緻密に計算されたハーモニーで彩られています。
曲の始まりは、まるで凪いだ水面を思わせる繊細なピアノ伴奏と、抑制の効いたユニゾンやピアニッシモの歌い出しからスタートします。ここでの静けさは、次の嵐を予感させる緊張感を孕んでいます。中間部に入ると、低声部(男声・アルト)の波打つようなリズムに乗せてテンポと調性が動き出し、感情のうねりが徐々にクレッシェンドしていきます。
そして迎えるクライマックスでは、全パートが渾身のフォルティッシモで重なり合い、魂の叫びとも言える圧倒的な音圧を放ちます。不協和音の緊張から一気に澄み切った長和音へと解決する瞬間は、まさに暗闇から光が放たれる瞬間を象徴しており、鳥肌が立つほどのカタルシスを聴衆にもたらします。最後は祈りを海原の彼方へ送り届けるかのように、静謐な余韻を残しながら消え入るように結ばれます。