決定的な証拠を押さえるため、現場を所轄する警察署生活安全課や警視庁の専従班は、膨大な時間と労力を内偵に注ぎ込む。その中核を担うのが、私服捜査員による「潜入捜査」だ。防犯カメラの配置、入会審査の手順、合言葉の有無、フロア内の見取り図に至るまで、外からは決して窺い知れない内部構造が緻密にマッピングされていく。
捜査員は一般客を装って店舗の会員登録を行い、数万円の入場料を支払って店内に潜入する。目的はただ一つ、店内で公然と行われているわいせつ行為と、それを店側が誘導・放置・促進している現場を直接確認し、記録化することだ。隠し持った超小型カメラや録音機器による記録、照明の明るさ、従業員による声かけの内容、避妊具の設置状況など、裁判で覆すことのできない客観的証拠が着々とファイルされていく。
数ヶ月に及ぶ潜入捜査によって「営業実態=公然わいせつの温床」という構図が固まった段階で、裁判官から令状を取り付ける。そしてある夜、客で賑わうピークタイムを狙い澄まし、十数名から数十名の捜査員が一斉に突入するのだ。