長年にわたりシーンの第一線に君臨し続けた巨匠が下した、表舞台からの撤退という決断。その引退の真相には、常に完璧なパフォーマンスを追い求めてきた表現者ゆえの厳格な美学が存在する。年齢とともに変化する声帯や体力的な限界をごまかすことなく、自らが納得できる最高の状態でマイクを置くこと——それこそが彼が貫いたプライドだった。
「やりきった」という清々しい言葉とともにラストアルバムを発表し、コンサートツアーからの引退を表明した姿は、ファンに深い寂しさを与えたと同時に、潔い生き様として大きな称賛を集めた。安易な復帰や未練を見せず、みずからの伝説を自らの手で完結させる姿勢は、まさに孤高のロックスピリットそのものであった。