作中でにがだんごが発揮した効果は、単なる体力回復や傷の治癒ではありません。その本質は「宿主にとって異質な毒や邪気を体外へ徹底的に吐き出させる強力な浄化作用」にあります。
瀕死の白竜(ハク)に千尋がにがだんごを食べさせたシーンでは、ハクは銭婆から盗み出した魔女の契約印と、そこに仕込まれていた湯婆婆の呪いの黒い虫を激しく吐き出しました。契約印の強力な呪詛と体内の毒が排出されたことで、ハクは死の淵から劇的な回復を遂げます。
さらに圧巻だったのが、強欲に任せて油屋の従業員やご馳走を貪り食い、怪物のごとく巨大化したカオナシへの使用です。千尋から残りのにがだんごを口に放り込まれたカオナシは、激しい拒絶反応とともに呑み込んだ蛙の従業員(青蛙)や番台蛙、大量の料理やヘドロを次々と嘔吐。油屋を飛び出して千尋を追いかける過程ですべての異物を体外へ排泄し、最終的には言葉を失った静かな元の影のような姿へと戻りました。
毒を薬で中和するのではなく、「呑み込んでしまった悪意や欲望をすべて吐き出させて原点に戻す」。これこそが河の神のにがだんごが持つ真の効能であり、現代のデトックスにも通じる大自然の自浄プロセスの具現化です。