日本海海戦で連合艦隊を指揮した東郷平八郎をはじめ、太平洋戦争時に連合艦隊司令長官を務めた山本五十六など、大日本帝国海軍の名だたる提督たちがこぞって足を運んだのがこの場所である。店内の奥座敷では、公式の記録には残されない非公式の情勢分析や、国家の戦略を巡る凄絶な議論が連日連夜交わされていた。
東郷平八郎が遺した直筆の書画や、山本五十六が好んだとされる洗練された酒肴の記録は、当時の緊迫した雰囲気を現代に伝える貴重な証言だ。日露戦争前夜に開かれたとされる秘密会合では、ロシア艦隊との決戦に向けた戦略の骨組みが語られたと伝えられており、まさに日本の命運を左右する密議がこの壁一枚を隔てて繰り広げられていた。