なぜブルガリアだったのか。その背景には、19世紀末から20世紀初頭にかけて活躍したノーベル生理学・医学賞受賞者イリヤ・メチニコフ博士の研究成果がある。ロシアの生化学者であるメチニコフ博士は、バルカン半島に位置するブルガリア地方に長寿者が異常に多いことに着目した。彼らの主食であった自家製ヨーグルトに含まれる乳酸菌が、腸内の悪玉菌を抑制し、老化を防ぐという「不老長寿説」を世界に発表したのだ。
このメチニコフ博士の発見が、世界の科学界のみならず日本の開発陣にも大きな影響を与えた。本場のヨーグルトこそが健康の源泉であるという科学的裏付けがあったからこそ、明治は「甘いお菓子風ヨーグルト」ではなく、本物の菌による自然な発酵にこだわり抜いた。ただの流行商品ではなく、人々の健康に寄与する本物の食文化を根付かせたいという強い情熱が、開発の原動力となった。