鬼才・万城目学の鮮烈なデビュー作である原作小説は、映画版と比較するとより綿密な歴史的背景と心理描写が盛り込まれている。さらに、スピンオフである短編集『小説『ホルモー六景』』を紐解くことで、本編の裏に隠された膨大なバックストーリーが浮かび上がってくる。
例えば、ホルモーという競技が平安時代からどのような権力闘争と結びついていたのか、なぜ代替わりの儀式が17代ごとに厳しく定められているのかといった歴史的因果関係だ。映画版ではエンターテインメント性を高めるためにテンポ重視で省略された人間関係の機微や、四大学の歴代サークルメンバーにまつわる悲喜こもごものドラマが、テキストの中には濃密に息づいている。
映画を楽しんだ後に原作やスピンオフへ戻ると、何気ない台詞の裏に隠された重層的な意味に気づかされ、二度三度と楽しめる構造になっている点も万城目作品ならではの醍醐味だろう。