都内のメンタルクリニックで院長を務める医師は、こうした訴えを持って来院する患者が急増していると警鐘を鳴らす。「彼らの多くは、うつ病の一歩手前である『適応障害』や『燃え尽き症候群』の兆候を示しています。家にいるにもかかわらず『家に帰りたい』と感じる、解離的な感覚を訴える患者も少なくありません」。
この「家にいるのに帰りたい」という奇妙な感覚は、心理的な孤立が原因だ。家族と同居していても、あるいは一人暮らしの部屋にいても、心が安らがない。自分の居場所が見つからないという深い喪失感が、この言葉を呼び起こすのだという。脳が過剰な情報処理によって慢性的な疲労状態に陥っていることも、この感覚を助長している。