都心部における最大の死角は、地下空間と高層建築物に潜んでいる。雨水幹線や下水道処理能力を上回る短時間豪雨が発生した場合、内水氾濫によって水が地下街や地下鉄坑道へ一気に流れ込む。巨大な「地下神殿」として知られる首都圏外郭放水路などがフル稼働したとしても、局地的な内水氾濫を完全に防ぐことは不可能だ。
深刻なのが、湾岸エリアや再開発地区に急増した高層タワーマンションの機能停止である。地下に設置された配電設備が冠水した場合、エレベーターや給水管のポンプが同時に全滅する。上層階に取り残された住民が「陸の孤島」と化すリスクは、従来の平屋や低層住宅中心の災害対策ではカバーしきれない現代都市特有の課題だ。