谷川俊太郎の才能は、純粋な詩の領域にとどまらない。国民的アニメ『鉄腕アトム』の主題歌作詞を手がけたことは、彼のキャリアにおける重要な金字塔だ。「空をこえて ラララ 星の彼方」で始まるあのフレーズは、子供たちの冒険心をくすぐるだけでなく、SF的抒情詩としても超一流のクオリティを誇る。
また、絵本の翻訳や児童文学の世界でも、谷川の言葉選びは異彩を放っていた。難解になりがちなテーマを、子供でも理解できる短い言葉へ噛み砕く技術。その根本にあったのは、言葉に対する徹底した誠実さと、幼い心への深いリスペクトだった。大人になってから彼の童謡や児童向け詩集を読み返すと、忘れていた感情が蘇り、思わず涙を流す大人が後を絶たない。