90歳を超えてからの生活の質(QOL)を保つためには、日々の食事管理と脳への適切な刺激が不可欠だ。特に高齢期に多く見られるのが、筋肉量や身体機能が低下する「フレイル」や低栄養状態である。
食事面では、十分なエネルギー確保に加えて体重1kgあたり1.0〜1.2gを目安とした良質なタンパク質(魚、卵、大豆製品、乳製品など)の摂取が推奨される。食が細くなった場合は、1回の食事量を減らして間食でプリンやゼリー、高カロリー飲料を取り入れる工夫が有効だ。また、脱水は認知機能の低下や脳梗塞の原因となるため、喉の渇きを感じる前に少量ずつ水分を補給させる習慣づけが命を守る。
認知機能の低下を防ぐトレーニングとしては、身体と頭を同時に使う「デュアルタスク(二重課題)」が大きな効果を発揮する。例えば、軽く足踏みをしながらしりとりをしたり、100から数字を逆唱したりする動作は脳の前頭葉を強く刺激する。また、過去の思い出を語り合う「回想法」は、精神的な安定と脳の活性化を同時にもたらす優れたコミュニケーション手法だ。