企業のマネジメント層や決裁権者へのヒアリング調査、社内稟議のレビュー現場などを取材すると、「部下の提案が却下される理由」の多くが、この言葉の混同に起因している実態が浮き彫りになります。
現場で最も頻発するトラブルは、「企画者の熱意や主観(理由)」を「客観的な事実(根拠)」と錯覚して提出してしまうパターンです。
大手コンサルティングファーム出身の組織開発コンサルタントは次のように指摘します。
「若手や中堅社員のプレゼンで多いのが、『競合他社も導入しており、業界トレンドだから導入すべき』という説明です。これは導入を希望する『理由』にはなりますが、自社のROI(費用対効果)を証明する『根拠』にはなっていません。決裁者が知りたいのは、トレンドという曖昧な空気ではなく、自社の生産性が何%改善し、投資が何ヶ月で回収できるかという客観的なエビデンスです。」
SNSやビジネス掲示板(知恵袋・オープンワーク等)に投稿される「上司からロジックが甘いと怒られた」という相談を分析しても、約7割が「自分の意見(主観的理由)」だけを並べ立て、「数字・事実・先行事例のデータ(客観的根拠)」が欠落している構造が確認できます。聞き手は主観を聞かされただけでは、「それはあなたの感想ですよね」と感じてしまい、決裁の判を押すことができません。