歌舞伎町の底辺労働や雑居ビルの実態を鋭くえぐり出した『ルポ歌舞伎町』の著者・國友公司氏は、街の変容とともに路地裏へ追いやられた人々の生態系をつぶさに記録してきた。國友氏の調査報道が示す通り、この街の危うさは暴力団という明確な組織の存在よりも、むしろ「拠り所を失った個人の無秩序な吹きだまり」へとシフトしている。
かつてはヤクザが街の秩序を歪な形で統制していた側面があった。しかし、その蓋が外された結果、モラルもルールも存在しない無軌道な連中が、ヤクザマンションの空室をシェアハウス代わりに使い潰している。ノンフィクション・調査報道が捉えた現実は、法と秩序の網の目から滑り落ちた人間たちが織りなす、生々しいサバイバルの記録に他ならない。
共用スペースのゴミ集積場には、高級ブランドの空箱と粗悪な合成麻薬のパケ、大量の睡眠薬の空殻が混ざり合って捨てられている。夜ごと繰り広げられる人間模様は、現代社会の歪みをそのまま濃縮した縮図である。