問題となったのは、あまりにもシビアなギアの計測基準だった。スキー板の長さやスーツの形状・空気透過率は、浮力に直結する生命線だ。ほんのわずかにゆとりがあるだけでも滞空時間が延びるため、競技の公正性を担保する目的で厳格なチェックが行われる。
しかし、当日の現地は想像を絶する極寒。極度の低温下では体水分量が変化し、太もも周りのサイズがわずかに縮むことがある。高梨沙羅が着用していたスーツは事前測定をクリアしていたものの、本番直後の再計測で規定より2センチ大きいと判定された。抜き打ちに近い厳格なチェック体制が招いたドラマは、世界中のファンに強い割り切れなさを残した。