機内で降下中に赤ちゃんや幼児が火がついたように泣き叫ぶのは、機嫌が悪いからでもわがままを言っているからでもありません。大人でさえ耐え難い鼓膜の牽引痛に襲われ、助けを求めているサインです。小児の耳管は大人の耳管に比べて太く、短く、水平に近い角度で走行しているため、鼻の炎症が波及しやすい反面、耳管周囲の筋肉が未発達で自発的に耳管を開くことが極めて困難です。
親が実践すべき飛行機で耳が痛い子ども・赤ちゃんへの対策は、「降下のタイミングに合わせた嚥下運動の誘発」に尽きます。具体的な現場ノウハウは以下の通りです。
- 赤ちゃんの予防策:機長からの「当機は着陸態勢に入りました」「降下を開始します」というアナウンス、または着陸予定時刻の約30〜40分前のタイミングに合わせて、母乳の授乳や粉ミルクの哺乳瓶、おしゃぶりを与えます。吸啜(きゅうてつ)運動と嚥下が同時に起こることで、耳管が自然に開放されます。
- 幼児・未就学児の予防策:言葉で「耳抜きして」と言っても伝わらないため、ストローマグでお気に入りのジュースを少しずつ飲ませる、棒付きキャンディー(ロリポップ)やグミをゆっくり舐めさせるといった工夫が絶大な効果を発揮します。ストローで吸い上げる陰圧と飲み込む動きが耳管の開閉をサポートします。
- 号泣への理解:万が一泣き出してしまった場合、親は焦る必要はありません。泣くという動作そのものが大きく口を開け、喉頭筋を激しく動かすため、結果的に自然な耳抜き動作として機能します。周囲に一声「気圧で耳が痛いようで申し訳ありません」と伝えつつ、抱っこして背中をさすり、落ち着かせることが肝要です。