法廷での泥沼劇を知った今、かつての大ヒット曲を聴き返すと、当時の二人が抱えていた奇妙なコントラストが浮き彫りになる。手拍子のイントロが印象的な『プライベート・アイズ』は、徹底的に計算されたポップセンスの結晶だ。この楽曲はダリルと当時のパートナーであったサラ・アレン、その妹ジャンナ・アレンらとの密接なチームワークから生み出された。ジョンの関与度は楽曲ごとに異なり、クレジットの分配を巡る水面下の駆け引きは当時から存在していた。
象徴的なベースラインで始まる『マンイーター』の原案を持ち込んだのは、実はジョン・オーツだった。当初はレゲエのリズムを想定していたジョンのアイデアを、ダリルがモータウン調の洗練されたビートへと大胆に作り変え、世界的なモンスターヒットへと昇華させた。ジョンのアイデアをダリルが完成させるという黄金のメソッドは、同時に「どちらがヒットの主たる創作者か」というエゴの衝突を常に孕んでいたのである。