水辺の青と街の雑多な色彩の中に、突如としてあらわれる巨大な黒い物体。建築家・遠藤克彦の手によるこの設計は、まさに都市に対する実験的アプローチだ。「黒い箱」とも形容されるブラックボックス型の外観は、極限までシンプルに削ぎ落とされたフォルムで、道ゆく者の視覚を力強く奪う。
しかし、一歩足を踏み入れれば印象はガラリと変わる。内部には「パッサージュ」と呼ばれる広大な吹き抜けの立体路が伸び、誰でも自由に通り抜けられる開かれた設計になっている。美術品を守る厳格な密閉性と、市民の誰もがふらりと立ち寄れる開放感。一見矛盾する要素を高度な現代建築のロジックで融合させた建築美こそ、大阪市が世界に誇る都市デザインの到達点と言えるだろう。