熱狂の発火点は、第25回上海国際映画祭のオープニング上映だった。幕が下りた瞬間、場内を包んだのは静寂と、それに続く割れんばかりのスタンディングオベーション。観客の頬を伝う涙が、この作品の強度を何よりも雄弁に物語っていた。近年、活況を呈するアジア映画界においても、これほどまでにストレートに人間の尊厳と情愛を描き切った作品は類を見ない。
青春映画や派手なアクション超大作が市場を席巻するなか、本作が見せたのは「人生の終章」に差し掛かった大人たちのリアルな息遣いである。中国本土での大ヒットに留まらず、各国の映画祭や映画ファンコミュニティで瞬く間に口コミが拡散。国や世代の違いを軽々と超越する普遍的なメッセージが、世界中の映画通を唸らせている。