Googleマップの目的地検索でも常に高い関心を集める「縁切榎」。板橋本町の旧中山道沿いに佇む小さな祠と榎は、一見すると見過ごしてしまいそうな佇まいを見せる。だが、そこに漂う空気の緊迫感は異質だ。
歴史を遡れば、皇女和宮が徳川家に輿入れする際、この榎の場所を嫌って迂回したという記録が残る。一度切り離したら二度と戻らないという強烈な象徴性。現在、境内の絵馬掛けには、びっしりと切実な言葉が並ぶ。病気との縁切り、泥沼の男女関係からの脱却、自分自身の弱さとの決別。生々しい人間の祈りが交錯する場所だからこそ、訪れる者には冷徹なまでの静寂と覚覚悟が求められる。