多くのファンが勘違いしているポイントがある。それは、アニメ第1話=原作第1話ではない、という事実だ。
テレビアニメ『ドラえもん』は、1973年に日本テレビ系で一度アニメ化された後、1979年にテレビ朝日系で再アニメ化された(現行シリーズの前身)。この1979年版アニメ第1話は「未来の国からはるばると」ではなく、「ゆめの町ノビタランド」という短編だった。これは原作で言えば別のエピソードであり、厳密には「のび太とドラえもんの初対面」を描いた内容ではない。
なぜ制作陣は原作第1話をアニメ第1話にしなかったのか。当時の制作関係者への取材によると、理由は大きく2つあった。1つは、原作第1話が「大晦日」を舞台としており、放送開始時期(4月)との季節感が合わなかったこと。もう1つは、セワシや未来の世界の説明が複雑で、初見の子どもには理解しづらいという判断があったことだ。
実際、のび太とドラえもんの出会いを描く「未来の国からはるばると」がアニメで本格的に放送されたのは、1980年1月1日の正月特番だった。原作連載開始から約10年後のことである。この事実は、作品の「始まり」がいかに慎重に扱われてきたかを示している。