長年、日本における盗撮の摘発は、各都道府県が定める「迷惑防止条例」に依存していた。しかし、この運用には重大な欠陥が存在していた。自治体ごとに条例の文言や適用範囲、罰則の重さが異なり、犯罪が発生した「場所」や「撮影対象」によって処罰できないケースが発生していたのだ。
特に「脇」や「服の隙間」からの撮影は、スカート内への差し込み撮影に比べて「下着が直接写っているか」「性的意図が明確か」という判断が分かれやすく、現場の警察官や検察官を悩ませる要因となっていた。新幹線の車内など、移動中に複数の都道府県をまたぐ場所での管轄権の混迷も問題視された。
2023年7月施行:歴史的な法改正
こうした法制度の綻びを修正するため、2023年7月1日に「面会交流等及び性的姿態等撮影罪に関する法律(性的姿態撮影処罰法)」が施行された。これにより、盗撮行為は処罰の根拠を全国一律の刑法体系へと移した。
新法では、「正当な理由がないのに、不特定または多数の者が認識できる状態にない人の性的姿態等を撮影する行為」が厳格に禁じられた。処罰の対象には、撮影行為そのものだけでなく、撮影した画像や動画の「所持」「提供」「拡散」も含まれる。