医師から「予後は厳しい」「余命については何とも言えない」と告げられ、不安を抱えるご家族は多いです。実際のところ、低酸素脳症における平均余命について、医学的な統計データは大きな幅を持っています。
一般的に、急性期を脱してバイタルが安定した場合、手厚い医療的ケアと全身管理が行われれば、数年から10年以上にわたって生存される患者も珍しくありません。つまり、低酸素脳症そのものが直接的な死因となって急変するのではなく、寝たきり生活が長期化することに伴う「合併症」が生命予後を決定づける要因となります。
長期療養において命を脅かす主な合併症には次の3つが挙げられます。
1. 誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん):嚥下機能が低下しているため、唾液や胃液が気道に入り込み、細菌感染を引き起こすリスクが極めて高い状態が続きます。
2. 重度褥瘡(床ずれ)からの敗血症:自力で体位変換ができないため、皮膚組織が壊死し、そこから細菌が血流に入り込む危険があります。
3. 尿路感染症:尿道カテーテルの長期留置などにより、膀胱や腎臓に炎症が広がり重篤化することがあります。
徹底した体位変換、口腔ケア、気道吸引、徹底した衛生管理を行うことで、これらの感染リスクを大幅に低減させ、生命維持を長く保つことが可能になります。