噴火当時、イギリス領ジャワの副総督を務めていたのが、後にシンガポールを創設したことで知られるトーマス・ラッフルズだ。彼は遠く離れたジャワ島で響いた轟音を、最初は大砲の発射音だと誤認したと記録に残している。敵船の襲撃を疑った軍が出動するほどの地鳴りだったというから驚きだ。
ラッフルズが残した詳細な見聞録や行政報告は、当時の混乱を今に伝える貴重な史料となっている。数多くの歴史ドキュメンタリーでも取り上げられるこの手記には、空から降る灰によって昼が夜へと変わり、植物が枯死していく様が克明に描かれている。未知の脅威に対面した人間の混乱と恐怖が、リアルな言葉で刻まれているのだ。