徳光和夫の語り口や情に厚い人柄のルーツを語るうえで、父・徳光寿雄の存在は外せない。戦前から戦後にかけて映画監督・演出家として第一線で腕を振るった寿雄は、映像演出と人間の感情表現におけるパイオニアであった。
家庭内でも表現に対する眼差しは厳しく、かつ自由だったという。立教大学で社会学やメディアに強い関心を寄せ、日本テレビの入社試験へと向かった徳光和夫の情熱も、父の背中を見て育まれたものだ。画面越しに視聴者の喜怒哀楽を引き出すあのアナウンス技術は、家庭環境の中で育まれた天性の「伝える力」に裏打ちされている。