寛永寺の真骨頂と言えるのが、厳重に保護されている徳川将軍家霊廟の存在だ。ここには4代将軍家綱、5代将軍綱吉…そして3代将軍徳川家光の意志を受け継ぐ形で代々の徳川将軍やその正室・側室が静かに眠っている。通常は非公開とされているこの聖域だが、特別な拝観機会に恵まれると、そこには息をのむような美の世界が広がっている。
透かし彫りが施された見事な唐門や、日光東照宮を彷彿とさせる緻密な漆塗り・金箔の意匠。非公開文化財として保管されている将軍ゆかりの遺品や仏像の数々は、かつての江戸幕府がどれほど惜しみない富と技術をこの場所に注ぎ込んだかを雄弁に物語る。かつて幕末の戦火から間一髪で免れた霊廟の建造物群は、日本の美術史においても最高峰の傑作と言わざるを得ない。