順風満帆に見えるキャリアの裏で、20代半ばには自身の表現に深く悩む時期があったことを彼女は隠さない。オファーが重なる一方で、「自分にしかできない表現とは何か」という根本的な問いに突き当たり、壁を感じる日々が続いた。
そのスランプを救ったのは、舞台演劇への出演や、自主映画の現場で触れた泥臭いモノづくりの熱気だった。効率やスマートさが求められる現場から離れ、泥泥とした人間模様を泥泥とした作業の中で練り上げる経験が、彼女の中に眠っていた野生的な表現欲求を呼び覚ましたのだ。「遠回りをした時間こそが、今の私の財産」と語る笑顔には、一切の迷いがない。