ダチョウ倶楽部の「押すなよ」がこれほど強烈に大衆を惹きつける背景には、心理学でいう「カリギュラ効果」が巧みに働いています。カリギュラ効果とは、「ある行為を禁止されると、かえってその行為をやってみたくなる」という人間の根源的な心理傾向を指します。
「押すな」と強く否定されることで、観客や視聴者の脳内では無意識に「押したい」「落ちる姿が見たい」という期待値が跳ね上がります。そして期待通りに見事なダイブが決まった瞬間、緊張から緩和へと一気に感情が解放され、大きな笑いが生まれます。これこそが、ダチョウ倶楽部が確立した「お約束・フリの法則」の真骨頂です。
「結末が分かっているのに面白い」という構造は、水戸黄門の印籠や伝統的な落語のサゲと同じく、日本人にとって心地よい安心感とカタルシスをもたらす様式美へと昇華されました。