早期退職に応じる社員を募るため、大手各社が提示する条件は破格に見えるケースが少なくありません。通常の退職金に加え、基本給の12カ月〜36カ月分相当が特別加算金として上乗せされることが一般的です。勤続年数が長く役職の高かった社員であれば、総額で3,000万円から5,000万円前後に達することも珍しくありません。
さらに、大手再就職支援会社による手厚いキャリアカウンセリングや転職先斡旋サービスが無償提供されるなど、一見すると労働者側にとって有利な条件が並びます。しかし、ここには見落としがちな落とし穴が存在します。
割増退職金は一時的な資金としては巨額ですが、40代・50代の転職市場において、前職と同等の年収や待遇を維持できるケースは一握りです。大手企業のブランドや社内調整力に依存していたスキルは他社で通用しにくく、再就職後に大幅な年収ダウンを強いられる事例が後を絶ちません。手厚い退職金に目を奪われ、その後の長期的な生涯年収やキャリアプランを見誤るリスクには十分な警戒が必要です。