大阪の街を歩けばどこからともなく目に飛び込んできた、ひまわりのマークと極彩色の看板。その光景が今、大きな転換点を迎えています。スーパー玉出の現在を端的に表すならば、「ディープな無法地帯的激安店から、健全な地域密着型スーパーへの脱皮」です。
最大の契機となったのは、2018年6月30日付で実施された事業譲渡でした。創業者の前田託次氏が率いる旧運営会社(株式会社スーパー玉出)から、鶏卵大手系列の不動産会社をルーツに持つ「株式会社フライフィッシュ」へとスーパーマーケット事業全般が売却されたのです。当時、買収額は十数億円規模に上ると経済紙などで報じられ、関西の流通業界に激震が走りました。
新体制移行後、最も顕著に現れたのがスーパー玉出閉店理由に直結する店舗網のスクラップ・アンド・ビルドです。最盛期には大阪府内および兵庫県に50店舗以上を展開していましたが、現在は不採算店舗の整理が急ピッチで進んでいます。この相次ぐ閉鎖の背景には、3つの決定的な要因が存在します。
第1に、昭和から平成初期にかけて居抜き出店を繰り返したことで生じた「建物の深刻な老朽化と耐震基準の未達」です。補修費用が数千万円単位で膨らむ老朽物件の維持は、合理的経営を目指す新会社にとって許容できないリスクとなりました。第2に、近年のエネルギー価格高騰に伴う「電気代と深夜人件費の爆発的上昇」です。旧体制の代名詞であった全店24時間営業は、採算面から見直しを余儀なくされました。そして第3に、旧経営陣時代に問題視された労務管理や不法就労問題などの負の遺産を清算し、上場企業基準に耐えうる「コンプライアンスの刷新」を図るためでした。
流通アナリストの分析によると、新生フライフィッシュ社は赤字を垂れ流す店舗を容赦なく切り捨てる一方、収益性の見込める旗艦店への投資を集中させています。かつての無秩序な拡大路線にピリオドが打たれた結果が、街角で見られる閉店ラッシュの真相でした。