店頭の棚が空っぽになり、早朝から薬局の前に長蛇の列ができたあの異様な光景は、なぜ引き起こされたのでしょうか。マスク品薄の真相を紐解く鍵は、当時の極端な供給構造にあります。
当時、日本国内で流通していたマスクの約7割から8割が中国からの輸入に依存していました。パンデミックの発生に伴い、現地工場が操業停止に追い込まれただけでなく、各国による囲い込みによって輸出制限が発動されたことで、日本の不織布マスク供給網は瞬時に寸断されたのです。
さらに、ウイルス遮断の要となる中間フィルター素材「メルトブローン不織布」の世界的な原材料争奪戦が勃発。国内需要が平時の数倍から十数倍に急伸する一方で供給が完全にストップし、構造的なマスク供給不足が日本全体を覆い尽くしました。