小林綾子さんの足跡を語る上で欠かせないのが、1983年に放送されたNHK連続テレビ小説『おしん』です。雪の中で川に流される筏の上で涙を流すシーンや、奉公先での過酷な試練に耐える少女・おしんの姿は、日本中の視聴者の涙腺を崩壊させました。
平均視聴率52.6%、最高視聴率62.9%という数字は、日本のテレビドラマ史上いまだ破られていない大記録です。ドラマの人気は国内にとどまらず、アジア、中東、中南米、アフリカなど世界70カ国以上で放送され、世界的な「おしんシンドローム」を巻き起こしました。
当時わずか10歳前後だった小林さんは、一躍国民的スターとなりました。しかし、本人は過熱する周囲の狂騒に溺れることなく、謙虚さと礼儀正しさを保ち続けました。厳しいロケ現場で培われた演技力と集中力は、その後の長い役者人生を支える強固な土台となっています。