防衛ドクトリンの最大の転換点といえるのが、スタンド・オフ防衛能力整備事業の本格推進である。敵の脅威圏外から精密打撃を加える能力の獲得は、長年「盾」に徹してきた自衛隊の運用思想を根底から塗り替えつつある。開発が進む12式地対艦誘導弾能力向上型の地上発射型や艦艇・航空機搭載型、さらには米国製巡航ミサイル「トマホーク」の導入は、反撃能力の実効性を担保する要となる。
防衛省はこれらの長射程ミサイルを分散配置し、衛星コンステレーションや無人機を活用した目標探知ネットワークと連動させる方針を急ぐ。南西諸島を中心とする島嶼部防衛において、敵艦艇の接近を拒否するアクセス阻止(A2/AD)網の構築は急務だ。相手領域内の軍事拠点を直接射程に収める射程延伸は、単なる防御兵器の更新にとどまらず、地域の軍事バランスを直接左右する戦略的カードとしての重みを持つ。