椎名林檎のギターといえば、グレッチと並んで絶対に外せないのがドイツのギターブランドDuesenberg(デューセンバーグ)です。特に2000年代以降のライブや「東京事変」の活動初期において、彼女の手元には常にDuesenberg Starplayer TV(サーフグリーンや市松模様のカスタムモデル「市松」など)がありました。
なぜ彼女はグレッチだけでなく、デューセンバーグをメイン機として選んだのか。そこにはステージ演奏における極めて実用的な理由が存在します。
フルホロウまたは大型セミホロウ構造のグレッチは、芳醇な空気感とヴィンテージトーンを持つ反面、爆音のロックステージでは激しいハウリング(フィードバック)が発生しやすい弱点があります。対してデューセンバーグは、センターブロックを内蔵したセミホロウ構造に加え、フロントにP-90タイプ、リアにオリジナルハムバッカーを搭載。太く歯切れの良いクランチから深いディストーションまで、ハウリングを抑えてタイトに鳴らし切ることが可能です。
グレッチが「美学とルーツの象徴」であるならば、デューセンバーグは「激しいバンドアンサンブルを切り裂く実戦兵器」という明確な役割分担がなされていました。