川原亜矢子のキャリアは、映画界での鮮烈なデビューから幕を開けました。1988年、吉本ばなな原作の映画『キッチン』の主演に抜擢され、各映画賞の新人賞を総なめにしたことで一躍脚光を浴びます。しかし、彼女が次に選んだ道は、国内の安定したスター街道ではなく、単身でファッションの本場フランスへ渡るという果敢な挑戦でした。
川原亜矢子がパリコレに本格参戦した年代は1989年から1990年代前半にかけてです。言葉も文化も異なる異国の地で、自らブック(作品集)を抱えてメゾンを回る日々。当時、アジア人モデルに対する門戸は極めて狭く、オーディションでの扱いは過酷を極めました。その逆境のなかで、モデルとしての若い頃から持ち合わせていた凛とした佇まいと強い意志が、現地のキャスティングディレクターたちの目を惹きつけることになります。